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ヒット曲を元にエッセイを書いていると同じアーティストが何度も出てきてしまうなーと始めた頃から思っいた。20曲を越えたあたりから、そろそろ2度目になるアーティストが出そうだと考え、それを誰にしよかと悩んだあげくこの宇多田ヒカルにした。飛ぶ鳥を落とす勢いの彼女なら問題ないだろう。
前回「Automatic」のエッセイを書いてからの彼女の活躍は凄い。私のエッセイのおかげという意味ではない。これほどブレイクするとは思わなかったということだ。
デビューアルバムはB’zのベストアルバムを抜く勢いだし、この曲と前曲「Automatic」はいまだにヒットチャートをにぎわしている。
藤圭子の娘ということや、それを殊更取り上げるマスコミの影響がないことはないが大したもんだ。これだけ大ヒットすると批判も聞こえてくるが、先日雑誌で「彼女の詩は幼稚だ」という記事があった。本当だろうか。検証してみたい。
Nothing’s gonna stop me
Only you can stop me
真夜中3時am 枕もとのPHS
鳴るの待ってるバカみたいじゃない
時計の鐘が鳴る おとぎ話みたいに
ガラスのハイヒール 見つけてもダメ
構うのが面倒なら 早く教えて
私だって そんなに暇じゃないんだから
I’m movin’on without you
フザけたアリバイ 知らないフリは もう出来ない
こんな思い出ばかりの 二人じゃないのに
せつなくなるはずじゃなかったのに
どうして いいオンナ演じるのはまだ早すぎるかな
うーんありがちな詩ではあるが幼稚とは思わない。
つれない彼氏に対して別れてしまおうという内容だ。強気にもう別れてもいいと言いつつやはりあきらめ切れないというパターンの歌詞は昔からよくある。
ただこの曲で面白いと思ったのがサビにかぶせて入ってくる「Movin'on!」というフレーズだ。印象的なので「ああ、あれか」と分かる人も多いと思う。
「せつなくなるはずじゃなかったのにどうして」の赤字の部分で「Movin'on」というフレーズがかぶさるのだ。
暇じゃないんだからはっきりしてと言ったあとせつなくなってしまったというフレーズにさらに「動き出せ」という言葉を重ねる。
3重に揺れる気持ちを表現していることになる。
なかなかよくできているのではないか。とりあげるのはありがちなテーマだが煮詰め方はうまい。
さて宇多田ヒカルの曲を論じるのに歌詞だけでは淋しいので、マリンとしては珍しく音楽的にアプローチしてみたい。
宇多田ヒカルの歌は普通の日本語ではあり得ない切り方になっていることが多い。例えばサビの部分で見てみると
せつなくなるは・ずじゃな・かった・のにどうして
という区切り方で歌われている。変わった切り方で歌われるのは最近多いが、巧みな裏拍と絡み合ってインパクトあるフレーズとなっている。
わかりやすいのが「Automatic」の出だしだ。
な・なかいめのベ・ルでじゅわきを
ここで切ると最も意味がわからなくなるという部分で切っているのだが、それがかえって心地よく印象に残る。
日本語にこだわりがないからできるのかもしれない。
日本語を何かを伝える言語というよりは、単なる音としてとらえているのかもしれない。
こういう音楽的なセンスと、歌唱力と、16歳という若さから天才といわれているのであろう。
しかし決して生まれついての才能だけではないらしい。両親の仕事の関係で幼少の頃からスタジオに出入りしていたという環境で培われたものも大きいらしい。
孟母三遷というが育ってきた環境は確かに大きいものだなと思い知らされる。
職業は全く違うがオリックスのイチローも同様である。
センスはあったかもしれないが、父親の熱心な指導があり、それに耐えたからこそあそこまでの大打者になったように、生まれながらの天才はないのかもしれない。
そう考えると子供の教育というものにおいて親の果たす役割は非常に重要だ。
今回は真剣に文章を書いてしまったので最後になぞかけを一つ。
「宇多田ヒカルとかけて」
「日本を代表する大打者イチローと解く」
「そのこころは」
「ケイコのもとに生まれました」
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